養蜂産業改革へのこだわり

養蜂産業改革へのこだわり

近代養蜂産業が抱える課題(1)

 末期肝臓がんの父に奇跡的な効果をもたらしたローヤルゼリーは、数少ない天然王台から集められたものでした。養蜂が産業として発展するなかで、ローヤルゼリーを効率的、大量に生産するために多数の人工王台というものが使われるようになりましたが、その採算性を重視するあまり、ローヤルゼリーに限らず蜂産品の品質や機能に大きな問題を抱えてしまったというのが、解決すべき近代養蜂産業の大きな課題であります。
 私は、過去40年以上にわたって日本での養蜂の実態をつぶさに視察し、その後、日本での蜜源の枯渇と養蜂業の衰退に合わせてローヤルゼリーの主たる輸入先である中国での養蜂の実態と問題点に目を注いできました。その結果,中国養蜂を含め,近代養蜂産業は養蜂のあり方、および蜂産品の生産管理において,多くの改善すべき問題点があることを具体的明らかにしてきました。ここでは、その課題のひとつであるミツバチ社会の生物学的特性を無視した養蜂のあり方について述べることにします。
 今日、養蜂のために飼育されるミツバチは西洋ミツバチと東洋ミツバチの2種類と言って良いと思います。日本では、古来、東洋ミツバチが養蜂のために使用されてきましたが、その後、西洋ミツバチが我が国を含め世界中で養蜂産業に使われるようになりました。近代養蜂に使われている西洋ミツバチはもともと19世紀にイタリア種とアメリカ種を人工交配させて作り出されたアメリカイタリア種と言われるもので、それぞれの特性を併せ持つ養蜂に適した品種を作り出すことに成功したのが始まりと云われます。この品種は低温に弱く感染症に対する抵抗性が弱いという弱点を有するものの、集蜜性が高く比較的攻撃性の低いことや短期間で群を増やすことができることなどから養蜂産業にはうってつけの品種ということです。
 その一方で、家畜化された西洋ミツバチは人工近親交配による蜂群の弱体化が問題となっているのです。自然界では,女王蜂は1−2回の結婚飛行を行い,これに追従してきた他群の雄蜂の数匹と交尾尾して精嚢を獲得し,帰巣するのが普通です。近年,特殊な器具によって女王蜂と雄蜂を人工的に交配する方法が考案され、この方法は品種改良によって高品質の蜂群を作りだす目的には有効であると考えられる反面,優れた形質を備えた蜂同士の近親交配になりがちであります。このようにして作りだされた女王バチは,生命力の低下を免れず,通常の寿命が3-5年であるのに対し1年で使用不能となってしまうのが一般的であります。また、このことは病気に対して抵抗力の弱い蜂群を作りだすもとになっており、伝染病の発生による蜂群の全滅、あるいは全群処分を強いられることになっているのです。このために、大量の抗生物質の予防投与が行われ、ハチミツやローヤルゼリーの薬物汚染を引き起こしているのです。雑種強勢(heterosis)は,近縁な者同士の交配を避け、強い種質を維持するための生物界の不変の原則であり,今後,十分に考慮すべき問題であります。
 このような観点から、家畜化、品種改良がそれほど進んでいない東洋ミツバチを再評価するという動きもあります。我が国では、ミツバチ飼育者の約8割を占めると言われる趣味的養蜂家の多くがこの東洋ミツバチを使っていると言われます。
そして、もうひとつの問題としてミツバチへの過重負担の問題があります。
現在の養蜂業においては,経済的利益を追求するあまり蜂群を酷使し,養蜂過程において蜂群に生じる変化の問題にあまり関心を示さない傾向にあります。例えば,耐病性の弱化など蜂群の種質の変化や蜂産品中の活性物質含有量の低下等の一連の問題に対して養蜂関係者の関心は必ずしも高いものではありません。ローヤルゼリーの品質評価のための基準物質であるデセン酸(10-ハイドロキシ-δ-2デセン酸)含有量をひとつの例としてみても,中国大陸や台湾で産するローヤルゼリーのデセン酸数値は一般に1.4-1.6%程度であり,最も高いものでも2.0%程度であります。これに対して、私たちが中国青海省で生産しているローヤルゼリーのデセン酸数値は2.5%を下回ることはなく、その原因の殆どは,ローヤルゼリーの多すぎる生産量に由来すると著者は考えています。中国を例にとってみると,飼育される蜂群は700万群を越えていますが,これに対する年間ローヤルゼリー生産量は2000トンにも達しているのです。もとより産業としての養蜂の視点に立てば、全ての蜂群を使い,大量のローヤルゼリー採乳を行うという手法は理解できない訳ではありません。しかし,その結果,蜂群の体質は弱まり,蜂産品の著しい品質低下を来すことは容易に予測できるのです。
 近代養蜂が抱える課題の解決のためには、まず健康食品として蜂産品の希少価値や付加価値こそが重要という養蜂家や消費者の発想の転換がまず必要であります。



 
(次回も引き続き、近代養蜂産業が抱える課題について紹介します)

 

養蜂産業改革へのこだわり

 私がローヤルゼリーと出会ったのは、父が肝臓がんを患い、為すすべもなく死を待つだけの時でありました。余命3か月と宣告されて入退院を繰り返し、ついに昏睡状態に陥った父との最後の別れの場で、長く父と親交のあったある見舞客の一人からローヤルゼリーの話を聞かされたのです。半信半疑のなかで、何物にもすがる思いで意識の無い父にローヤルゼリーを肛門から注入してもらったところ、みるみる回復し、3か月後には退院するという劇的な生還を果たしたのでした。  この衝撃的な出来事がきっかけとなり、私はローヤルゼリーという奇跡をもたらしてくれる物質への驚きと感動、感謝を胸にローヤルゼリーを世に広める仕事を生涯の仕事と決意したのでした。

 

昭和42年に会員制販売組織「王乳愛好会」を組織し、生ローヤルゼリーの販売事業を開始しましたが、当時、私はまだ若干23歳の若さでした。その後、昭和44年には現在の「ジャパンローヤルゼリー株式会社」を設立するに至りました。  その一方で、ローヤルゼリーには父を奇跡的に回復させたような効果が、その後、なかなか確認できず、奇跡を起こさないローヤルゼリーへの疑問に鬱々たる気持ちを抱き続けた時期もありました。販売事業が厳しい局面を迎えることも多かったのですが、そんな時でも、ローヤルゼリーのお蔭で元気を回復した父の姿が脳裏から消えることはありませんでした。このような経験を通して、ローヤルゼリーには品質に大きなバラつきがあり、その背景には近代養蜂が抱える深刻な問題がつきまとっていることに気づきかされました。これまでは、他の養蜂家が生産したローヤルゼリーをそのまま販売するだけでしたが、以来、自ら高品質のローヤルゼリーを生産することに挑戦することにしました。安全で高品質なローヤルゼリーを生産するための自然養蜂へのこだわりと、そのようにして生産されたローヤルゼリーの機能性を科学的検証する試みが、ここから始まったという事が出来ます。

(次回は、近代養蜂産業が抱える課題について紹介します。)